着物には独特の佇まいがあります。

結婚式や入学式、卒業式などで見かける着物姿。

自然に着こなしていたり、着付けができると聞くと一目置いてしまいます。

着物と一言で言っても、「格付け」というものがあり、その種類によって着用シーンが異なります。

まず、フォーマルな着物の種類と格付けを見てみましょう。

基本的な着物の種類と格付け

フォーマルな着物の種類は大きく分けて、黒留袖、色留袖、振袖、訪問着、色無地の5種類

カジュアルに楽しめる着物の種類は大きく分けて、付下げ、小紋、紬、絞り、お召の5種類

着物の種類 着用シーン
黒留袖 結婚式、披露宴など
色留袖 結婚式、披露宴、授賞式など
振袖 成人式、結婚式の花嫁衣装
訪問着 入学式・卒業式、七五三、茶会など
色無地 ランチ、お稽古などの軽い外出着
付下げ 入学式・卒業式、観劇、パーティーなど
小紋(こもん) お稽古、ランチ、ショッピングなど
紬(つむぎ) 普人との食事、ショッピングなど
お召(おめし) お茶会、歌舞伎、お宮参り、結婚式の二次会など

着物の格とは?

着物の格とは値段には関係がなく、紋の数、素材、染め、柄つけなどによって格付けされます。

きちんとした決まりごとがあり、伝統的にそれを重んじているので、その決まりに従うこと

TPO(時と場所と場合)に合った着分けをする必要があるのです。

格の高い着物を着た時には、立ち居振る舞いにも気をつけなければなりません。

紋とは?

着物における紋とは「家紋」を表しています。

紋の数によって格が異なります。

正装=5つ紋(黒留袖と同格)、準礼装=3つ紋、略礼装=1つ紋

結婚式などで列席者の方と格を揃えるならば、紋の数を揃えないと意味がないことになります。

フォーマルな着物(第一礼装)

結婚式や祝賀会、記念式典といったフォーマル(正式)な行事ごとに着られる種類です。

フォーマルな席では、着物の格が重要になります。

礼装は、自分の好みや趣味を基準に選ぶのではなく、周囲への礼儀として装う必要があります。

種類①~黒留袖

既婚女性が着る最も格が高い着物です。

黒留袖は、結婚式や披露宴など特別な場面でしか着用しない着物で、新郎新婦と関係の深い近親者のみが着用することがマナーとされています。

既婚女性だからといって友人などが着用するのは、マナーに反することになります。

柄は?

黒留袖は、黒地が基本なので柄によって印象がグッと変わってきます。

柄自体には格はありません。

柄の位置が高いと若い方向き、低い位置からの落ち着いた柄は年配向きと言われていますが、その着物を着る方の身長や雰囲気もあるので、年齢だけでは判断できない場合もあるようです。

結婚式や披露宴など特別な場面で着用する黒留袖。

縁起がよく、お祝いの意味を表す吉祥文様などの柄が用いられています。

新郎新婦の母親なのか、仲人なのか、叔母や祖母なのかで、柄の選び方も違ってきます。

代表的な柄:縁起の良い柄(鶴亀、松、高砂、松竹梅、つがいの鳥、華紋、唐草など)

他の種類との見分け方は?

黒留袖は着用する場面、立場も限られています。

結婚式、披露宴などで新郎新婦と関係の深い近親者のみが着用している黒地に裾模様(全体が一枚の絵のように構成されている絵羽模様)、胸と両腕、背中部分に5つの紋が入っている着物です。

生地は?

生地には地模様のない縮緬(ちりめん)が用いられています。

帯は?

帯、着物よりも格上のもの、または同等のものをあわせます。

黒留袖の帯の色は、金色・銀色・白色の糸を用いた豪華な織りの帯で華やかさをプラスします。

種類②~色留袖

地色が黒以外の色の着物を色留袖といい、格式の高いことに変わりはありません。

既婚・未婚どちらでも着れる着物です。

柄は?

色留袖も黒留袖同様に縁起の良い柄、宝尽くし、文箱、御所車など。

ベージュを基調としたもの、ピンクを基調としたもの、黄色を基調としたものなど、着物の色によって雰囲気もガラリと変わります。

他の種類との見分け方は?

上半身には模様が入っておらず、裾模様のみの黒以外の色着物で、二枚重ねになっているように仕立てある「比翼仕立て」になっています。

生地は?

生地には、地模様のない縮緬(ちりめん)や地模様が織りだされたものを用いる場合もあります。

帯は?

黒留袖同様、金色・銀色・白色の糸を用いた織りの帯を用います。

種類③~振袖

未婚女性が着る、袖の丈が長い着物です。

未婚でいる限りいつまでも振袖を着るというものでもなく、40代以上の年齢になれば、未婚でも留袖を着てもいいのではという意見もあり、また地域や家などによっても考え方は異なるようです。

「大振袖」「中振袖」「小振袖」があり、袖の長さで格が異なります。

袖の長さ ヘッダ項目
大振袖 115cm前後 花嫁衣装
中振袖 100cm前後 成人式
小振袖
(二尺袖)
85cm前後 卒業式
お出かけ着

柄は?

鶴亀、松竹梅などの慶事向けの柄

華やかな色柄で着物全体に柄のある総柄から淡いパステルカラーの振袖など、可愛らしく着たいのか、大人っぽく着たいのか、着用する人の好みによって幅広く選ぶことができます。

他の種類との見分け方は?

袖丈の長さが他よりも長い着物

生地は?

正絹とポリエステルのものがあります。

正絹には上質で高級感があり、ポリエステルには、洗濯機で洗えるという手軽さがあります。

帯は?

振袖は袋帯で豪華な変わり結びをすることができます。

成人式では、様々な可愛らしい変わり結びを楽しむ人も多いのではないでしょうか。
着物,帯

 

フォーマルな着物(準礼装)

第一礼装まで格は高くないですが、きちんとした装いとされ、既婚・未婚を問わず着用できます。

種類④~訪問着

色留袖に次ぐ格の礼装で、裾・袖・肩・胸、全体に絵羽模様(全体が一枚の絵のように構成されている)があります。

入学式・卒業式、七五三、結納、パーティーなど着用できるシーンの多い着物です。

柄は?

菊、桜、菖蒲、藤、松など四季折々の花をあしらった柄は季節に関係なく着られる柄です。

他の種類との見分け方は?

色留袖が裾模様に対して、訪問着は肩から裾にかけて模様が描かれています。

生地は?

縮緬(ちりめん)や紬地(紬地)など

種類⑤~色無地

黒以外の一色に染められた模様のない着物で、紋が付けられることで格が上がります。

未婚・既婚は問いません。

柄は?

模様がなく一色で染められたシンプルな着物

明るい色は慶事用、暗い色は弔事用で着用することが多くなります。

他の種類との見分け方は?

柄がなくシンプルな一色着物

生地は?

縮緬(ちりめん)や綸子(りんず)など

種類⑥~付下げ

訪問着を簡略して生まれた着物で、カジュアルの小紋よりも格が高くなります。

紋が入ると格が上がり、未婚・既婚を問わずに着ることができます。

柄は?

柄は小紋のように連続して模様があるものではなく、控えめな柄が多くなります。

他の種類との見分け方は?

反物の状態で柄付けを行うので、すべての模様が上向きに描かれています。

生地は?

主に正絹が使用されています。

カジュアルな着物

観劇やショッピング、ランチなどに切られる着物の種類です。

素材や柄によって着る場所を選びます。

種類⑦~小紋

全体に繰り返し模様があり、その大きさは決まっていません。

柄は?

小さい柄の「飛び柄」と着物全体に柄模様がある「総柄」があります。

小さい柄(鮫小紋)は、遠くで見ると無地の着物のようにも見えます。

小紋の中でも、ものすごく細かい模様がびっちり入っているものは格がアップします。

他の種類との見分け方は?

肩から裾の方に柄がある着物とは違い、全体に柄があります。

生地は?

主に正絹が使用されています。

種類⑧~紬

織りの着物の代表格。

元々、日本各地で織られていて、昔は普段着としても使わていました。

※ 織りの着物とは?

糸を染色して織り上げられた生地で織られた着物のこと

織るとは ⇒ 縦糸と横糸を一定に組み合わせて平らな布を作る作業

他の種類との見分け方は?

色糸で織りだしている(先染め)着物です。

生地は?

紬は細糸で織られていて(例外もある)生地に張りがあります。

種類⑨~お召

徳川将軍の御召物が名前の由来と言われていて、略礼装から普段着としても着れる着物です。

他の種類との見分け方は?

紬よりも薄く、通常の縮緬よりもコシが強くシボ(凹凸)が生じて独特の風合いがあります。

光沢があり、表面を触ると生地に張りとコシがあります。

生地は?

強撚糸で織られています。

シワなどの回復に優れていて、着心地も良い着物です。

その他~夏の着物

夏の暑い時期(7月~8月)に着られる着物。

種類⑩~絽(ろ)

絽目と呼ばれる隙間が特徴的な透け感のある着物です。

全体的に縦模様に隙間が入っていて透けたように見えます。

種類⑪~麻

麻素材で作られていて薄手で張りがある着物です。

軽くて、お手入れが絹よりも簡単。

種類⑫~浴衣

元は入浴時に来ていた着物です。

基本は、素肌に直接着るものですが、透けやすい素材の浴衣ならば、長襦袢などを着用したほうが安心です。

着物より着付けも簡単で価格も安いので、世代を問わず、花火大会や夏祭りなどで着れる定番モノです。

 

袷(あわせ)と単(ひとえ)の違いは?

袷(あわせ)、単(ひとえ)といっても、着物に詳しくないと何をいっているのか分かりませんよね。

  • 袷(あわせ)は、裏地がついていて2重になっている着物
  • 単(ひとえ)は、裏地のついていない着物

袷(あわせ)は裏地がついているので透けることがなく、最も着られている着物です。

単(ひとえ)は裏地がないので、暑い季節や季節の変わり目などに向いている着物です。

 

まとめ~着物の種類

着物の種類について見てきました。

成人式の日の振袖姿は華やかで初々しく、見ている方も顔がほころびますね。

訪問着、付下げ、色無地には、しっとりとした落ち着いた華やかさがあります。

着物の世界はとても奥が深く、どの種類を着ても、なんでも華やかになると思ったら大間違いだということが分かります。^^;

場違いな着物を着用すると失礼な場合もあるので、着ていく場所やその場の雰囲気、自分の立場などをよく考えて楽しみたいですね。

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